父子を描いた作品ベスト3に入る良書『ステップ』




父親と子どもを描いた作品は、小説であれ、ドラマであれ、映画であれ、興味が湧きます。とくに、5歳と0歳の子どもがいるので、それぐらいの年齢の子どもが登場するものには目がありません。

最近、『ステップ』(重松清 著)を読みました。ページを先にめくるのがもったいないと思える作品で、あーいい本に出会えた!と感動しました。

父親と娘が主人公のストーリーで、娘が保育園から小学校を卒業するまでを描いた1話読み切りの短編を集めた長編です。

保育園は保育園のときの、小学生のときは小学生のときの、成長する子どものその時々の親の気持ちが、大変共感でき、さらには自分の子育てに気づきを与えてくれる内容で、ストーリーを楽しみながら親としての子育てを考えさせられる良書です。

最後は、自然と涙が出てきて、さらに、自分の子どもと重ね合わせて考えてしまい、涙が止まらなくなりました。

父子を描いた作品ベスト3に入る、私のお気に入りとなりました。


心が動かされた文章を引用しておきます。少し長いですが、気になる文章があれば、読んでみる価値あり、だと思いますよ。


以下、引用。

◯「パパの抱っこって、いそがしい、って」 わかる。 うつむいた顔を上げた僕は、「そうなんですよ」と認めた。僕の抱っこは、美紀の寂しさを包み込むためのものではない。マンションの廊下を歩くとき、浴槽から洗い場に出るとき、リビングから布団を並べて敷いた和室に移るとき、混み合ったショッピングセンターで買い物をするとき──美紀のペースに合わせると時間がかかってしまうから、抱っこする。手をつないで歩かせると危ないから、抱っこする。さっと抱き上げて、せかせかと動いて、ぱっと下ろす。それが僕の抱っこだ。 「なーんにもしない抱っこの時間も、子どもには楽しいんですよね。ぺたーってくっついて、お尻を支えてもらって、頭とか撫でてもらったりして、ぼーっとして指でもしゃぶってるうちに寝ちゃう……そういう抱っこも、子どもは大好きなんで
◯値段や見栄を着るわけじゃないんです
◯あの晴れ着やおひなさまのお金があったら、粉ミルク何百人ぶんになるのかな
◯いまのニッポンの子どもたちって、おとながベタベタに甘やかして、かわいがって、笑いなさい笑いなさい楽しいんだから笑いなさいって……
◯「健一くん……美紀ちゃんと一分でも一秒でも長く一緒にいてやれよ……あとから後悔しても思い出は増やせないんだ、仕事なんてどうだっていい、美紀ちゃんと少しでもたくさん思い出をつくって……子どものことを覚えててやるのは、親の義務だぞ、ほんとうに、それが親のつとめなんだ……」
◯子どものことを覚えておくのは親のつとめだと義父が言ったように、親の姿を子どもの記憶に残しておいてやるのも親のつとめなのだと、僕は思う。
◯「ノートに書いたり録音したりしなくても覚えてるのを、思い出っていうんだ」
◯一所懸命なひとがいる。不器用なひとがいる。のんびりしたほうがいいのはわかっていても、それができないタチのひとがいる。いいじゃないか。みんなとは違う。悪くないじゃないか。がんばって、つい夢中になって、みんなからはずれて、はぐれてしまう。ときどき意地を張りすぎたり、みんなのもとへ帰るタイミングを逃したりする。それもいいじゃないか。 美紀がおとなになったら──と、ふと思う。みんなとうまくやっていくことがいちばん大切なんだと考えるひとより、一所懸命がんばることのほうを大事にするひとになってほしい。
◯それよりもプロジェクトの大前提となるさまざまな意識をスタッフ全員で共有しておかなければ、のちのちずれが出てきた場合、取り返しがつかなくなってしまう。たとえば東京という街の都市計画を考える場合、東京の現状を「交通至便な快適な街である」と見なすのと「自然が破壊された非・人間的な街である」と考えるのとでは、目指すべき方向性がまるっきり正反対になってしまうのだ。
◯「アリとキリギリスの話あるだろ。イソップだっけ。あれは半分間違ってるよ。先々のことを考えるのは大事でも、あえてキリギリスになるしかないときって、人生にはあるんだ」
◯「美紀ちゃんがつらいんだったら、きみもつらいんだ。親っていうのはそういうものだろ。子どもが悲しんでるとか苦しんでるとか、外から見るな。子どもが悲しんでるときは親も悲しいんだし、子どもが苦しんでるときには、親だって……へたすりゃ、親のほうがもっと苦しいんだ。そうだろ? そうじゃなかったら嘘だろう、違うか?」
◯胸に抱いたまま生きていくのは、決して悲しいことではない。そのひとがいないという寂しさを感じる瞬間は、そのひとのいない寂しさすら忘れてしまった瞬間よりも、ほんとうは幸せなのかもしれない。
◯つらい思い出に触れるたびに……美紀は、優しくなってくれると思います。いまよりももっと優しくなって、生きることに一所懸命になって、そういうふうに一所懸命に生きてるひとたちのことも、ちゃんと尊敬して、愛して、愛されて……そんなおとなになってくれると思うんです」

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