【書評】「しがみつかない生き方」(香山リカ)

 本書の内容はあとがきの著者の次の言葉に集約されています。


「ふつうにがんばって、しがみつかずにこだわらずに自分のペースで生きていけば、誰でもそれなりに幸せを感じながら人生を送れる。それで十分、というよりそれ以外の何が必要であろうか」


  老子の 「足るを知る」という言葉や書家の相田みつを氏の「幸せは自分の心が決める」という詩を思い起こさせます。

 人生の成功者を手本に自分も成功したいという思いを持ち、向上していく気持ちは大切です。
 しかし、誰もが人生の成功者になることはできません。人生の成功者という言い方も漠然としていますが、誰もが羨む地位や名声、財産を得ることができるのはほんの一握りの人です。
 
 本書は言わば、ほんの一握りの人ではない、世間一般の人と言ったらよいのでしょうか、そんな人たちをそっと勇気づけてくれる本だと思います。ちなみに、本書の最終章は「勝間和代を目指さない」です。ひたむきに上を目指しがんばり続けたが、夢かなわなかったというときには、随分、心が和むのではないでしょうか。
 
 著者は、まずは今の境遇を感謝すること、そして、うまくいっているときは運がよかったと思える力を身につけることが大切だ、と言います。

  また、「すぐに白黒つけない」とも言います。人間の狭量化が進んでいる今だからこそ「あいまいさ」の大切さを説いています。「あいまいさ」を許容できる器量やそれ認める社会、自分とは違った考え方や生き方を排除せずに受け入れる「ゆとり」が必要だということです。


 私はこれを「グレー思考」と名づけて頭の片隅に常に置くようにしています。すぐに白か黒の区別をしないで、白でも黒でもない「はっきりしない色」をまずは受け止める器量を持つという姿勢です。
 本書には、皇室の雅子さまの座右の銘が紹介されています。

 「実るほど頭をたれる稲穂かな」

  雅子さまの謙虚さを改めて感じさせられ言葉です。

  謙虚さを常に大事にして、現在の境遇に感謝しながら、こだわらずゆとりを持って生きていく。そこから見えるそれなりの幸せで満足する。
 本書から学ぶことは、こういった生き方は後ろ向きで上昇志向の欠如した生き方としてだけとらえるものではないということです。さらには、魅力ある生き方の一つとして考えるべきものであり、自分自身の「幸福」に対する価値観を再確認にして、どう生きていくのかを考えることだと思います。


 最近、ライフハックの名の下に便利さや効率化ばかりに目がいき、せかせかした精神状態になりがちでした。こうした分野の本を読むことは、急いた心を落ち着け、自分の心のあり様について考える、よい機会になります。


※本記事は、本書を読んで「books in life 〜知識の倉庫〜」で書いた書評から、本書を再読して再構築したものです。

※本記事は、R-styleの「「読書週間」に読書をして書評を書こう!企画第二回」にエントリーしています。


しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)
(2009/07)
香山 リカ

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